前回の記事では、査定依頼のポイントについて説明させていただきました。
そこで、今回は実際の査定の流れについて説明します。
査定の流れは次のとおりです。
1.査定を依頼する。
2.プロによる不動産(土地と建物)の調査が行われる。
3.プロによる査定が行われる。
4.売出価格を決める。
となります。
それでは、順番に説明していきます。
査定を依頼するについて
前回の記事のおさらいですが、まずは、不動産のプロである業者と入念な打ち合わせをして正式に査定を依頼します。
ちなみに査定ですが、有料にするところと、無料にするところがありますが、有料だったとしても不動産を売却する経費と考えれば大した金額ではありませんので、有料か無料かで判断することは辞めましょう。
かえって有料で査定を行ってくれる業者の方が、誠実に販売活動をしてくれる可能性も高いです。
ちなみに、不動産業者からすると、査定をするために必要な書類を取得する必要があり、これはタダで取得できるものではありません。
また、査定をするにも、それなりの時間と労力がかかります。
だからこそ、有料で査定を行っているという業者もいるということです。
査定を依頼する業者が、信頼できる人だと思えていることの方が、査定が有料か無料かよりも大事な問題だということです。
なお、査定が無料の場合、査定をした後で「当社で売却をさせてください!」と大いに営業をかけられる可能性もあります。
このパターンは大手不動産仲介業者に多いのですが、大手仲介業者は会社そのものを維持するために、多額のコストがかかっているので、営業活動は激しいと思ってください。
プロによる不動産(土地と建物)の調査が行われる。
プロによる調査は、主に次の3パターンで行われます。
(1)法務局(又はインターネット)で土地と建物の登記記録等の書類を取得する。
(2)現地で実際に土地と建物と周辺環境を確認する。
(3)役所で土地と建物に関する書類を取得して確認する。
(4)売主に物件の問題点についてのヒアリングが行われる。
査定の際、売主は、できるだけ物件のマイナス要素(問題点)について開示する必要があります。
具体的には、次のようなことです。
・建物でかつて人が亡くなっている(自殺・他殺は特に大きな問題)。
・敷地内に井戸がある。
・境界で隣地と揉めている。
・以前、家で小さな家事(ボヤ)があり修繕した。
・白蟻の被害にあって修繕した。
・近隣に暴力団の事務所がある。
・定期的に悪臭や騒音を発する施設がある。
・パッと見ても分からないような墓地や遺体の安置所等がある。
・近隣に問題行動をする人が居住している。
上記のような問題点は、プロによる調査でも発見できないことがあり、不動産を売却した後に問題となってしまうことがあります。
なお、もし仮に、契約不適合責任を免責にする契約(物件を買主に引き渡した後は、物件についての責任を売主が負わない契約)をしたとしても、売主が物件に関する問題点について、知っていたにもかかわらず、買主に伝えなかった事については、その責任を回避することはできませんので、包み隠さず開示するようにしてください。
プロによる査定が行われる。
調査によって問題点を洗い出し、査定が行われます。
前回の記事で説明したとおり、査定と言っても時期や売却相手、売却方法とパターンがあります。
プロによって、そのパターンに応じた査定を出してくれるでしょう。
売出価格を決める。
査定の結果を受けて、売出価格を決めます。
売却を急ぐのであれば、不動産業者に少し安めの金額で売却(その代わり、売主には売却後のリスクを最小限にした状態で売却)したり、売却に数か月程度時間をかけても良いのであれば、少し高めの金額(一般的な住宅であれば100~200万円程度高め)にしてもよいでしょう。
なお、査定価格からみて、高すぎる金額で売却活動を始めるのはお勧めしません。
そもそも高すぎる金額では売れることはありませんし、いつまでも売却活動を続けると「市場のさらし者」となってしまう可能性があるからです。
そのあたりも自分が信頼するプロと相談しながら、売却価格を決めていけばよいのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、査定の本格的な査定の流れについて説明しました。
査定で大事なことは、売主は売主にしか知り得ない物件の問題点を、包み隠さず不動産のプロである業者に伝えるということです。
これにより正確な査定が行えますし、かつ、売却後のトラブルの防止にもなります。